日本で最も売れているビールと言えば、アサヒビールの「アサヒスーパードライ」(※)。2021年は、フタがパカッと全開する「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」の売れ過ぎ&一時休売でも話題を振りまきましたが、2022年もいきなりビッグニュースが飛び込んできました。それは、ブランド初となるフルリニューアルです。
「アサヒスーパードライ」の発売は1987年なので、なんと36年目の転機。味わいのほか、パッケージやプロモーション内容なども同時に刷新され、2022年2月中旬以降の製造分から、順次切り替えられるとのことです。
そこで本稿では、ひと足先にリニューアル後の「アサヒスーパードライ」を入手。従来品と飲み比べ、何がどう変わったのかを明らかにします。
※インテージ調べ/2020年12月〜2021年11月
左が従来品で、右が刷新される新しい「アサヒスーパードライ」。刷新版は、シルバーカラーはそのままに、ややシンプルなデザインに仕上がっています
まずは、パッケージデザインから刷新版の特徴を解説します。
缶は、マットとツヤありの2つの質感のメタリックでシルバーを表現。そのうえで、文字情報を減らしつつ、ロゴなどはサイズの大小でメリハリをつけることで、「Asahi」と「SUPER“DRY”」の視認性を向上させています。
刷新版の表と裏。注目なのは、裏面(右)のデザイン。ちなみに、従来品は表裏ともに同じデザイン
缶裏面の特徴は、「新スーパードライ、始まる。」というメッセージとともに、味の特徴を視覚的に表現したイラストが描かれていること。このイラストは、「辛口カーブ」というものだそうで、アサヒビールの一般的なビールとの違いもわかりやすく説明しています。
「辛口カーブ」の解説。「アサヒスーパードライ」の特徴である飲み応えとキレが向上しているとのことです
では、味はどのように進化しているのでしょうか。
アサヒビールによると、辛口のコンセプトはそのままに、中味の処方を変更。キレのよさは維持しながら、飲み応えを向上させているとのこと。
また、製造工程における煮沸の終了直前にホップを投入する「レイトホッピング製法」により、ほのかなホップの香りを付与。さらに、発酵開始時の酸素量を制御し、酵母の働きを調整することで、発酵由来のビールらしい香りを強めているそうです。
カロリーや糖質などをチェックすると、従来品と刷新版でスペックに違いはありませんでした。とはいえ、上記にあるような進化により、さらにおいしくなっているはず。いよいよ、実際に飲み比べて、味をチェックしたいと思います。
左が従来品で右が刷新版。商品側面のスペックを見ると、数値はすべて同じでした
まずは、「アサヒスーパードライ」の従来品の味を改めてチェック。いいですね〜。どっしりとしたアタック、辛口ならではのシャープなキレ、スカッとクリアな余韻。「これだよ、これ!」的な安定感があります。
従来品。泡もクリーミーで、辛口な味とのメリハリも抜群です
そして本稿の主役、刷新版「アサヒスーパードライ」をゴクリ。おお、これは! 確かに、香りからしてボリューミーで、フレッシュな印象がより強く感じられました。
刷新版。香りの違いは、グラスに注いで意識的にかぐと、よりわかりやすかったです。
飲んでみると、ひと口目のボディの芯が太い! これが飲み応えの向上の理由でしょう。そこから来る、口内をスカッとリセットするようなクールなキレはさすが。その急こう配の落差がプハーッという爽快なのどごしを生み、「アサヒスーパードライ」らしさをしっかりと感じさせてくれました。
持ち味の辛口はそのままに、魅力を高める絶妙なリニューアルと言えます
香りの進化は味わいにも作用していて、フレッシュさだけでなく、彩度も上がったかなという印象。特に余韻はブライトで、ビールらしい苦みの奥に、晴れ渡るようなすがすがしさを感じました。
「アサヒスーパードライ」は、売り上げ日本一なだけに、ファンも多いビール。リニューアルと言えど、ファンを裏切らない考慮のもと、開発されたのだと思います。筆者もファンのひとりですが、個人的にこの進化は大アリでした!
店頭でも、リニューアルが大々的にアピールされるはず。こうご期待!
また、冒頭でも述べた2021年の大ヒット商品「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」も、2022年3月29日に味、デザインともにリニュ―アルしつつ、泡立ちもアップするとか。生産体制もさらに強化して、より買いやすくなるとのことで、こちらも期待大です。
いずれにせよ、まずは「アサヒスーパードライ」が切り替えとなる2022年2月後半を待ちましょう。その反響が楽しみです。
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。