自宅で楽しめるかき氷器がブームとなっていますが、筆者もドウシシャ「電動ふわふわとろ雪かき氷器 DTY-16BK」を試し、予想以上のおいしさと楽しにハマってしまいました。そんな時、目に飛び込んできたのが手動なのに15,000円もするKaiHouse「本格かき氷器」(貝印)。手動タイプなら2,000円以下で手に入れることができますし、価格.comにあるもっとも高い電動タイプが8,000円台であることからも、いかに「本格かき氷器」が高価であるかがわかります。「本格かき氷器」を自宅で使った所感と、メーカーが開催した体験会で見てきた様子を交えて紹介しましょう。
氷を削るための刃と氷を回転させるハンドルがある普通のかき氷器に見えますが、「本格かき氷器」は業務用で採用されている「ウォームギア」を搭載しているのが大きなポイントです。ウォームギアとは、ネジ歯車とはす歯歯車を噛み合わせて氷に安定した圧力をかける装置。一般的な家庭用のかき氷器にはウォームギアがなく、ハンドルを回すたびに氷を押さえつける力が変動するため氷に当たる刃の角度にバラつきが生じ、氷が均質に削れないのだそう。また、刃物メーカーだけに“均質に薄く削れる刃”を装備しているのも魅力です。
サイズは220(直径)×435(高さ)mmと、わりと大きめ
氷を押さえる部分にはスパイクがあり、しっかりと氷をキャッチしてくれます
削るための刃は、かなり鋭角。よく削れることだけでなく、薄く剃れるように計算された刃の角度となっているそう
カットモデルを見てみると、氷を回転させるハンドルとつながっているねじ軸に噛み合うような装置があることがわかります。これが、ウォームギア。ウォームギアがあることで、常に一定の圧力で氷をホールドできるのです
さっそく、ミネラルウォーターを凍らせてかき氷作りトライ! 氷は付属の製氷器で作ることが推奨されていますが、サイズがあえば違う容器で凍らせてもいいとのことでした(メーカー談)。
製氷容器は2重構造になっています。2重にするとじわじわと凍らせることができるので、透明な氷になるのだそう。また深さがあるため、塩素やミネラル分などの不純物は下のほうに沈殿。つまり、上のほうは不純物のない透明な氷ができるというのです
不純物の有無が分かれた氷ができることに半信半疑ながら、ひとまず凍らせてみることに。フタがないので少しニオイ移りが気になります。8時間ほど冷凍庫に入れておけばOK
長く冷凍庫に入れておいても問題ないとメーカーに聞いたので、2日ほど放置しておいたら膨張し過ぎたようで製氷器から氷を抜き取るのに苦労しました。その後何度か試しましたが、1晩ほどだと比較的ラクに取り出せるようです
ちなみに、氷はこのような状態で完成します(製氷器から取り出し、天地逆さにセットするので透明な部分が下になります)。濁っている部分が、塩素やミネラル分などの不純物が混じっている氷。見事に2層に分かれていますね。おいしいかき氷が味わいたいなら、透明な部分だけ使いましょう
氷を置いたらAのハンドルを回して、きっちり固定。ちなみに、@は氷を削る際に利用するハンドルです
ウォームギアと連動したハンドルを回すと氷を押さえるパーツが下がり、氷にスパイクが食い込みます。このようにすることで氷と刃のムダな隙間がなくなり、その間隔が保持されるので、常に理想的な角度で刃が当てられるというわけですね
削った氷を受ける皿をセットしたら、氷を削ります。上部のハンドルを、手のひらで上から押さえるようにして回すとやりやすい
ハンドルを回すと氷が回転して、下の動画のように氷が削られます。粒々な感じではなく、皮を削いだような状態ですね。すごく軽い力で削れるので、とても気持ちいい! シュッシュッと削れる音も心地いいです。
カキ氷なのに、削り節のような薄い削れ具合! 空気を含んでいるので、このようにふわっと仕上がるのだといいます。手動タイプ初体験で、この完成度はすごいのでは!?(自画自賛)
シロップをかけたり、時間が経つと氷が溶けて粒っぽい感じになりますが、ふわふわ感は健在。やさしい刺激で、キーンとくることもなく、口どけがすごくいいです。上質な氷にはひと味違うものをかけてみたくなり、アルコール入りのシロップで大人なテイストを楽しみました。贅沢な気分♪
「本格かき氷器」には凝ったメニューが満載のレシピBookが付属しているので、あまり食べたことのないかき氷にもチャレンジしやすいでしょう
事前に行われた体験会では、レシピBookにある2品を試食しました。わらび餅を添えたかき氷にきな粉をふりかけ、黒蜜を垂らした和風テイストのスイーツは、見た目も涼しげで夏のおやつにピッタリ
上で紹介したスイーツ系かき氷も美味ですが、食事系のほうが個人的には好き! アボカドとヨーグルト、牛乳、マヨネーズなどを製氷器で凍らせて削ったかき氷です。しっとりとしていて、口の中でスルッと溶け、これは食欲がない時にもどんどん食べられますね
普通のかき氷はモンクなしにおいしいですし、レシピBookにあるアレンジかき氷もクセになるような味わいでたまりません! でも、ちょと変わったかき氷も作ってみたい。自宅で作るかき氷の楽しみって、レシピにはないメニューを創作できるところにもありますよね!? 今回は、準備に手間をかけない“インスタントかき氷”(筆者命名)でラクにおいしくを目指します。
最初にチャレンジしたのは、野菜ジュースを凍らせたもの。スイーツでも健康に配慮したいという思いから、作ってみました。
野菜や果物の繊維が残るあらごし仕様のジュースは、12時間冷凍庫に入れておいても完全には凍らず。シャーベットのような状態です。製氷器から取り出す段階でポタポタと汁が垂れて、手やテーブルがベトベト……
シャーベット状だったためか粒っぽい仕上がりになったものの、ふわふわ感はバッチリ。しかし、冷たいと甘みなどを感じにくくなるようで、ジュースの状態では甘かったのにかき氷では甘みがほとんどない! バニラアイスをトッピングしたらおいしいだろうと思いましたが、ヘルシーや健康と程遠くなってしまいますね。口に含んだ時には感じませんが、食べ終わると素材(ジュース)の風味が口に残ります。甘さ少なめが好みな人は、アリじゃないでしょうか
続いては、もっとスイーツっぽいものに挑みます。選んだ食材は、シュークリームと牛乳。カスタードで甘さは補えると予想し、甘い調味料は入れませんでした。シューがどのような食感をかもしだすか楽しみです。
シュークリームの形状が残るように凍らせたので、かなりおもしろい状態になりました
牛乳は粒感、カスタードは板状のしっとりとした状態、シューはクレープの生地のようで、3つの食感を同時に楽しめます。味は……やはり甘みが足りないですね。牛乳に練乳をプラスすれば、もっとおいしいかも。シュークリームよりも液体を吸収しやすいスポンジケーキを使うのもよさそう!
最後に挑むのは、ラーメンです。インスタントカップのラーメンを作り、冷ましてから凍らせました。汁なしの冷たいラーメンっぽいものができるのでは!? と期待♪
すごくキレイな冷凍ラーメンができました。このビジュアルに感動!
麺が残るかき氷となりましたが、味が薄い。甘さだけでなく、塩分も冷たさで感じにくくなるようです
価格.comマガジン随一のラーメンマニア“ラーメン大好き松田さん”にも試食してもらいましたが、「味が薄い!」と一蹴。汁に浸したまま冷ましたせいで麺がふやけてしまい、食感もいまいちとも。麺は袋から取り出したまま製氷器に投入し、冷めた汁を入れるほうがいいのでは? というアドバイスもらったので、作り方次第では大化けするかも!?
最後のほうは創作の楽しさに若干脱線してしまったところはありましたが、削り心地が最高に気持ちいい。すごく軽いチカラでスルスルと削れることだけでなく、凍らせる素材が変わると手に伝わる感覚が違ってくるのもおもしろいです。そして、出来上がったかき氷のふわふわでやさしい口どけに、初めて食べた人はみんな感動していました。この反応を見るだけでも、手に入れた価値があるのではないでしょうか。
もちろん、手軽さでいえば電動タイプでしょう。削る速度も速いです。しかし、ある程度の運転音が響くので、住環境や調理時間が問われるかもしれません。筆者が試したことのある「電動ふわふわとろ雪かき氷器 DTY-16BK」も、ふわっとしたかき氷ができるのがウリで「本格かき氷器」と近い仕上がりになります。しかし、毎回できるわけじゃないのが大きな違い。刃と氷の隙間が変わるためか、削り節のようにならないことも(粒々した仕上がりになることも)。きちんと凍った氷を用意しておけば安定した削り具合になるのは、さすが“本格派”。作ることろから上質なかき氷を目指すなら、「本格かき氷器」以上にうってつけなものはないでしょう。
ちなみに「本格かき氷器」は貝印公式オンラインと一部百貨店で購入できますが、現在、あまりに人気で製造が追いつかず入荷待ち状態。当初は1,000台限定でしたが、そこは見直しをかけているということでした。とはいえ、いつまでも在庫が用意されるとは限らないので、気になる人は入荷されるのをこまめにチェックしておきましょう!