忙しいひとり暮らし男性のなかには、外食やコンビニ弁当が中心の食生活を送っている人も少なくないかもしれません。ただしこれでは、栄養のバランスが偏り食生活が乱れがちですよね。さまざまな調理家電を検証している筆者からしてみると、テレワークが普及して在宅時間が長くなっている今こそ、「料理をしないともったいない!」というのが率直な思い。時間を有効活用して、ぜひ食生活を豊かにしましょう。
週に1度、あるいは月に1度でも、料理をして少しでも食生活を豊かにしたい、と考えている人に注目してほしいのが電気圧力鍋です。電気圧力鍋はいまや、「簡単」「時短」「ほったらかし」がうたい文句のヒット商品。しかも、ひとり暮らし男性にぴったりな小容量タイプなら1万円台から買えるので、使う頻度が少なくてもコスパがよいのです。
そこで今回は、価格.comの人気売れ筋ランキングで1位(「圧力鍋」カテゴリー、2023年9月7日時点)のタイガー「COOKPOT COK-A220」を使用して、実際に調理しながらチェック。ひと味違うおもてなし料理で友人を驚かせてみたい人や、お子さんのいる家庭で料理を頑張りたいパパの参考にもなると思います。
まずは簡単に、電気圧力鍋の仕組みを確認しましょう。圧力鍋は密閉加熱で気圧の変化を利用します。沸騰して水分が水蒸気に変わり、体積が増えた状態で気密することで、圧力鍋内部の気圧を上げます。気圧が上がると沸点が上がる(「ボイル・シャルルの法則」です)ので、100度以上の温度で食材が加熱できるというわけです。
高温で加熱できる圧力調理には、食材を短時間でやわらかくでき、味の浸透を進めるメリットがあります。よく、「2時間かかる豚の角煮が30分で!」などと紹介されているのは、100度以上の高温加熱ができるためです。このほか、電気圧力鍋ではさまざまな調理ができます。通常の煮込み料理をはじめ、60度ぐらいまでの温度でゆっくり加熱する低温調理や、時間をかけてゆっくり加熱するスロー調理、食材に焼き色を付ける炒め(焼き・ベイク)など、メニューやレシピによって使い分けられます。
また、ひとり暮らし男性の場合、鍋やフライパンなどの調理道具をそれほど所有していないというケースもあると思います。電気圧力鍋があれば、大体の料理がこれ1台でできてしまうので、調理道具が必要最小限で済み、調理道具を洗う手間なども省けます。
今回使用するタイガーの「COOKPOT COK-A220」は1台10役で使えるマルチな電気圧力鍋です。40メニューのオートモードのほか、「うま圧」「高速」「スロー」「無水」「温め」「発酵」「ベイク」の、7つのマニュアルコースを用意。それでいて1万円台(2023年9月7日時点)から購入できるコスパの高さもあって、価格.comでは注目度の高い製品です。
「COOKPOT COK-A220」の本体サイズは約28.1(幅)×27.4(奥行)×22.6(高さ)cmで、小さめの炊飯器くらいのサイズ感です。ひとり暮らし向けの小さなキッチンで、調理器具を省スペースで置けるというのはうれしいポイント。炊飯機能も搭載しているので、炊飯器代わりに使うこともできます。
コンパクトな本体にマットブラックのカラーリングがスタイリッシュな本体。男性のひとり暮らしにもぴったり
「COOKPOT COK-A220」の最大の特徴は、独自の「うま圧」での調理です。これは1.15気圧という低い圧力で調理する機能。本格的な電気圧力鍋は1.7〜2気圧の高い圧力で調理します。気圧が高いと加熱温度が高くなりますが、そのぶん、減圧に時間がかかります。これに対して「COOKPOT COK-A220」は、あえて圧力を低くすることで減圧時間を短縮。より時短で調理ができるのです。また、圧力が低いので、野菜などの煮崩れがしにくいのもポイント。食材の食感を保った調理が可能です。
内鍋には取っ手付き。最大調理容量は1.4L(「うま圧」「高速」は1.2L)で、ひとり暮らしの男性にはちょうどよい容量
本体前面にディスプレイを配置。タッチ操作ではなくダイヤル操作なので、メニューの選び間違いが少なくて済みます
それでは実際に調理。まずは「うま圧」調理のメニューを作ります。付属のレシピブックや、メーカーサイトのレシピをチェックしたところ、これはひとり暮らし男性向きだと感じたのが、「鶏手羽元と麦のスパイシートマトスープ」。手羽元肉と麦を入れるのでボリュームがあり、不足しがちな野菜もたっぷり摂れます。ごはんにもパンにも、パスタにも合うメニューです。
「鶏手羽元と麦のスパイシートマトスープ」の作り方はとっても簡単。玉ねぎとセロリを1cmにカットしたら、あとはすべての材料を内鍋に投入するだけ。後は約60分、そのままほったらかしです。セロリやチリパウダーなど細かな材料は入れなくても問題ありません。
カットした野菜とトマト缶、鶏手羽元などを入れるだけなので、料理の下ごしらえも楽々
できあがりは、スープというより具だくさんのカレーやポタージュのようなイメージ。しっかりとした食べ応えで、カレー風味なのでごはんにかけてもおいしかったです。レシピブックによれば、これで1人分のカロリーが237kcalとヘルシーなのもうれしいですね。
2人分が完成。ヘルシーで歯ごたえのよいもち麦が入っているので、これだけでも満足でした
電気圧力鍋は油を使わずに調理することができるので、ヘルシーな料理が作れます。たとえば近年人気のサラダチキンも簡単。サラダチキンはコンビニやスーパーで購入するとそれなりの値段がしますが、鶏ムネ肉は多くの場合、100g50円以下で購入が可能。実は、自炊するとすごくリーズナブルな料理なのです。
「コンソメ仕立てのサラダチキン」は、ゆっくりと茹でることで、やわらかい仕上がりになります。パサパサ感がなく、しっとりとしています。また、サラダチキンはインターネット上にもさまざまなレシピがあるので、それらを参考にアレンジすれば飽きがこなくて楽しめるでしょう。
材料はとてもシンプルで、コンソメと鶏ムネ肉だけ。これらを低温でゆっくり煮るだけです
鶏ムネ肉が冷めたらそぎ切りに。ジューシーで本当においしかったです。お酒のつまみにももってこいですね
普段の食事用におすすめなのが、「COOKPOT COK-A220」で炊いた玄米です。ご存じのとおりタイガーは炊飯器でもトップメーカーの1つであり、ご飯のおいしさはなかなかのもの。特に、圧力をかけて炊いた玄米はもちもちの食感で、白飯の代わりに食べられそうです。玄米は最大2合(白米は最大3合)炊けるので、これを週末などに炊いて冷凍して、食べる分だけレンジで温めるのもよいでしょう。
約70分で玄米が炊ける。もちもちした食感でボリューム感があり、お腹も満足
また、付属レシピに掲載されている「鮭の味噌バター玄米混ぜごはん」も絶品でした。これは甘塩鮭や舞茸、アスパラガスなどを味噌バターで炒めて、玄米と混ぜたものです。来客用にもうってつけの絶品メニューと言えます。友人におもてなしすれば、よろこばれること請け合い。
「COOKPOT COK-A220」が同価格帯の圧力調理鍋と比べても優秀なのは、圧力調理や煮込み調理だけでなく、ベイク(焼き)調理にも対応している点。高性能モデルのような混ぜる機能はありませんが、食材を高温で焼けます。さらにふたを閉めて密閉することで、短時間での蒸し焼きも可能。これは試してみるほかないです。
「COOKPOT COK-A220」には15分以下でできる「高速」メニューがありますが、その多くはこのベイク機能を使ったものです。たとえば、「鶏むね肉とじゃがいものキムチチーズ焼き」は、じゃがいも、鶏ムネ肉、キムチ、チーズを重ねて蒸し焼きにしたメニュー。食材を入れて20分、ベイクモードで加熱するだけでできあがりです。相性のよいキムチとチーズの組み合わせは絶品。鶏ムネ肉をコチュジャンなどで味付けすれば、チーズタッカルビのような味わいになります。
鶏肉とキムチ、じゃがいもが層になり、その上をチーズが覆っています。一気にかぶりつくと、なんとも言えない食材のハーモニーが楽しめます
また、面白いのが「ごはん入りお好み焼き」です。市販の千切りキャベツと冷凍ごはん、卵を混ぜるだけの簡単メニュー。鍋底に敷いた豚肉がカリカリに仕上がっていて、食感も抜群でした。肉巻きおにぎりに近い食べ応えです。これも15分で調理できます。
ご飯とキャベツを混ぜてお好み焼き風に。小麦粉を使わないというのも驚きでした
やはり、電気圧力鍋で手軽にほったらかしの調理ができるのは便利。煮込んだり、蒸し焼きにしている間に、部屋を掃除したりとちょっとした家事もできます。電気圧力鍋は、時間のないひとり暮らし男性の自炊をより手軽に、そしてヘルシーで、豊かにしてくれます。簡単ですので、まずは付属レシピから試してみてはいかがでしょうか。凝った料理があまりにも手早くできたので、定番の「ルーローハン」や「ポトフ」も作ってみました。
レシピに載っていた「お手軽ルーローハン」も作ってみました。おいしくてスタミナ満点。まさにひとり暮らし男性向き!
あまった野菜とソーセージをゆっくり煮るだけの「ポトフ」もヘルシー。スープの味が染みうまでした
ひとり暮らし男性に注目してほしい電気圧力鍋は、そのほかにもたくさんあります。ここでは、価格が手ごろで高コスパな製品をご紹介。製品ごとに機能などが異なるため、作りたいメニューや使い勝手に応じて、ベストなモデルを選びましょう。
1.9気圧でしっかりと圧力をかけて調理できるハイパワーな電気圧力鍋。高圧力と自動減圧機能を組み合わせた「スマートプレッシャー技術」を採用しており、食材をしっかりやわらかくしたり、味の染み込みを進めたりしながらも、調理時間を大幅に短くできます。83種類のオートメニューを搭載し、1台10役で使えます。
浅く広い、2.2Lサイズの内鍋を採用したモデル。1.7気圧での加熱調理に対応しているほか、豊富な自動メニューを搭載しており、最大3合の炊飯も可能。ふたを外すと鍋のフチまでの高さが17cmと低めに設定されており、卓上のグリル鍋としても活躍してくれるモデルです。
発酵機能とベイク機能を組み合わせてパンも焼ける多機能モデル。満水容量は3.0Lと大きめ。オート調理ができるレシピモードはカレー、角煮など4種類ですが、豊富なマニュアルモードを備えており、全16機能から選んで使えます。圧力調理機能では最大114度で加熱できるため、食材を短時間でやわらかく仕上げられます。
1.6Lサイズのコンパクトな内鍋を採用したモデル。自動メニューとして角煮、肉じゃが、おでん、カレーなどの6種類を用意しています。さらに、手動モードでは調理する食材によって5段階で圧力の調整が可能です。レシピブックには52種類のメニューを用意。本体がコンパクトなので設置場所を選びません。